1.弊社の特長とサービス
社名は『ふれあい、友愛、たすけあい』をモットーにする事、そして、プロドライバーとして、完成された自分=Iを持った集合体で有りたいとの願いを込めて命名し、2007年6月にタクシー業務を開始しました。
弊社のタクシー部門は、全取締役と管理職を含めた全職員が、乗務員経験者です。現場を熟知している経験者だからこそ、業務管理や経営戦略も、現場第一主義で職場環境の整備と乗務員待遇の向上を常に優先しています。
お客様に直接接している乗務員は、私達の会社の顔で有り、窓口で有り、会社の代表です。彼ら一人一人にとって、働き甲斐の有る会社でなければ、彼らが、心からの笑顔をもってお客様に客し、懇切・丁寧なサービスを提供できるはずが有りません。
サービスの特徴としては、お客様にとっても乗務員にとっても、『乗り心地』を重視して、ハイヤーでも使用されているクラウンセダンを25台保有し、長距離輸送にも対応できるガソリン車としてカムリ4台とプリウス3台、計32台でタクシー業務を年中無休24時間体制で営業しています。
2.なぜタクシー配車予約サービスを開始しようとしたのでしょうか
お客様を駅から目的地まで運び、目的地から駅に戻るような、終日、駅に付けているタクシーは『実車率』が、50%です。しかし、駅で一時間待っていても、お客さんをなかなか乗せられないのが、今日のタクシー業界ですから、少しでも売上げを上げたい乗務員は、空車で街中を走り、お客様を探すようになります。その為、景気が悪くなればなるほど、乗務員は走り回ってもお客様をお乗せする事が出来ず、最も厳しい業界環境だった事は、実車率が35%台まで、下降した事も有りました。
乗務員にとっては、背に腹は代えられないギリギリの選択の結果ですが、経営面からは、燃料代を無駄にしている上に、勤務時間や走行距離が長くなると過労や事故の心配が高まり、とても非効率で危険性の高い状態と言わざるを得ませんでした。
行政指導による業界全体でタクシーを減らした結果、売上げや実車率は最悪の状態は脱しましたが、乗務員の高齢化や平均給与の低さは、改善されたとは言い難く、低いレベルで安定してしまっている状態です。一方で、当社のタクシー部門は、保有台数32台と小規模ですが、月間での輸送回数は、1万5千回を超え、延べ輸送人数は2万人を超えます。このお客様の5%でも、弊社のリピーターに出来れば、売上げも実車率も間違いなく向上するというのが、導入動機の一つです。
また、無線設備が無いので、せっかく弊社に予約依頼が有っても、急な配車には、対応出来ない状態が続いていました。雨の日や金曜日には、こうした電話が多く、月間200本近い時も有りました。予約配車がシステム化できれば、こうしたお客様を『お断り』する事無く、売上げを増加させる事が可能です。
しかし、数百万円の設備投資と許認可の必要な上に、無線配車係を常駐させなければならない無線設備は、弊社の規模で単独で導入するのは、事実上不可能でした。更に、24時間体制で無線サービスを提供するには、人件費だけで毎月100万円の運転資金が必要になります。こうした初期投資費用とランニングコストを大幅に削減できる事になった、今回のソフト開発は、弊社にとっては、正に待ちに待ったサービスの実現でした。
更に、ナビゲーションシステムの充実や翻訳ソフトの深化によって、乗務員の営業ツールとしても優れている点も、I Padの導入を決定した見逃せない特性です。
携帯電話や一般的なナビゲーションシステムでは、実現不可能な画面の大きさと操作性の容易さも、高齢者の多いタクシー業界にとっては、魅力の一つです。
3.タクシー業界の現状と今後の予想
タクシー業界は、今後も乗務員の高齢化は続くと思います。しかし、社会構造が変化し、終身雇用制が崩壊した今日の日本では、職住近接の観点から、また転職を繰り返した労働者の受け皿として、この業界の役割は、決して軽くないと自負しています。私自身がそうだったように、一度事務所から出れば、『一人』で仕事が出来る気安さは、車を運転する事を苦にしない労働者にとっては、魅力の一つだからです。
また、介護業界等と比べれば、タクシー業界は、間違いなく斜陽産業です。自動車が無人で走る日を待たず、年々お客様が減っていく事は、日本全体の人口減少からしても自明です。従って、一人一人の乗務員の営業能力と組織体としての法人の営業能力が、日増しに重要視されていく事になるでしょう。タクシーが、観光名所で細々と営業している人力車や蒸気機関車と同じようになるまで、まだ数十年はかかるでしょうが、それまで、企業も個人も営業ツールをフル稼働させて、様々な営業能力に特化し、洗練される事が求められると思います。
その第一歩として、高齢化が進んだ現在、業界では『ユニバーサルデザイン』として、全てのタクシー車両に車椅子での乗り降りを可能にしようという計画も進んでいます。高齢者の足としての役割は、これからも一時的には、拡大すると想定されます。耳や目がご不自由になり、筆談が必要な方も増えるでしょう。
一方で、近未来的には、労働人口の減少も予想され、看護業界や介護業界の様な外国人労働者の受け入れの波も、タクシー業界へ波及する可能性も有ります。当業界に限らず、肉体労働や労働条件の悪い業種には、外国人労働者の流入が想定され、その方々が、タクシーを利用する事も容易に想定できます。
こうした近未来においては、I Padの多様なソフトと機能性は、間違いなく、なくてはならないツールになります。指で字が書けるソフトや50か国語に対応している翻訳ソフト、GPS機能やフェイスタイムは、会社と乗務員とお客様のそれぞれを近付けて、親密化していくでしょう。
4.弊社の今後のビジネス展開とサービスの展望
弊社には、物作りのノウハウも、長く続く伝統も有りません。たった4名のタクシー乗務員経験者が設立した弊社は、創業5年足らずで、その間の経営ノウハウしか蓄積された経験も無いのが、率直な実情です。
将来を展望するとすれば、その短い過去の経験を踏まえて、何故、今日まで、事業を継続する事が出来たかを、考察しなければ始まりません。
一つは、創業以来、保険会社、リース会社、金融機関を始めとした、多くの理解者、協力者を得た事です。彼らからの信頼は、一日で成り立ったものではないからこそ、これからも大切にしていかなくてはならないと考えています。
そして、弊社が経営上、最も大切にしてきたのは、労使の立場ではなく、『仲間』として、乗務員を大切に遇してきた事であると、自負しています。たった4名の創立者だけでは、32台のタクシーを切り盛りする事は出来ません。60名を超える仲間達が、会社の代表としての自覚をもって、一人一人がプロとして活躍できる会社で在り続ける事が、今後も必要であると痛感しています。
また、厳しい業界で有るからこそ、個々の能力と会社の経営努力が求められます。だからこそ、私達は、これからも現場にも出て、タクシー業務をしながら、お客様の生の声を聴き、乗務員の不平・不満にも、真摯に応じていきたいと考えています。お客様が満足するには、接客をする乗務員が会社に満足していなければなりません。その為には、一人一人の乗務員に遣り甲斐と笑顔を与えられる会社で在り続けたいと思っています。
経営方針の将来に対しては、法令順守=コンプライアンスの要請が、更に強まると考えておりますので、安心・安全をお客様のみならず、社員全員に対しても、実感してもらえる様に、福利厚生と含めた職場環境の充実を図ってまいります。その一環として、昨年から通所介護施設の運営を始め、高齢化した乗務員の家族の介護疲れの予防や乗務員から介護職員への配置転換を志向しています。勤労意欲のある高齢者に職場を提供し、そこから利益を上げる事が出来れば、今後のビジネスモデルにも成り得ます。
終身雇用制が崩壊した今だからこそ、弊社に勤めていれば、『死ぬまで安心だ』と仲間達に思ってもらう事が出来れば、勤労意欲を長く維持する事も可能です。古き良き日本の法人の良い点を積極的に取り入れて、会社経営をこれからも続けていきます。
介護事業だけでなく、仲間たちが安心して仕事に集中できる職場環境の整備を目指して、提携や買収を含めた多岐にわたる事業展開も、今後は必要になると考えています。
最後になりましたが、『人・金・もの』と『情報』を上手にやりくりする事を、弊社の経営者の一人として、私は、公人としての至上命題にしています。
その中で、『人』を最も大切にして、今日まで経営の責を果たして参りました。これからも、同じ経営を続けていく中で、人の笑顔と感謝を頂戴できる法人で、在り続けたいと考えています。
みなさまの笑顔と感謝が、この『Hey Taxi!』導入によって、たくさん増えれば、こんなに嬉しい事は有りません。